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ルイはそのシマリスに見覚えがなく、お兄ちゃんと呼ばれたことに戸惑いを感じます。
「お腹が空いているの?」
「……うん」
小さなシマリスは静かに頷きます。どんぐりをあげるつもりはありませんでしたが、ルイはそのシマリスのことを可哀想に思いました。小さなシマリスは弱々しい声で言います。
「お母さんがね、どんぐりを食べたいって」
「……え?」
ルイはとても驚きました。この小さなシマリスが、自分とよく似ている境遇であることに気付いたからです。
お母さん想いの小さなシマリスの話を聞いていると、ルイには同情の気持ちが自然と沸いてきました。
しかし、ルイのお母さんとルイも空腹に耐えているということが、そのシマリスにどんぐりをあげてしまうことを決心させるのを鈍らせます。
「お兄ちゃん、お願い……」
小さなシマリスは泣きそうな顔になりながら言います。
この顔を見て、ルイはムササビさんとのことを思い出しました。
僕もこんな顔をしてたのかな。
そう思うとルイの胸は痛みました。この子はとてもお腹が空いている。僕とおんなじ。でも、この子は僕より小さいんだ。
ルイは遂に決意します。
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