105人が本棚に入れています
本棚に追加
ハァッハァッ
暗い森の中を、一人の少年が走っている。
ハァッハァッ
ただひたすらに。ただ生きるために。必死に、走っている。
何かがあったのだろうか?辺りには煙と血の匂いが立ち込め、至る所に動物の死体があり、さらには何か巨大なものが通った跡が無数にあった。
ハァッハァッ
走る、走る…
少年は何かを見つけたのか、それとも目的の場所についたのか、ゆっくり、ゆっくりとスピードを落としていく。
そして、止まった。
そこは少し高めの丘だった。草や花が咲き、辺りが一望できる。
そして、少年は今までとは嘘のようにゆっくりと、歩くのを拒むかのように、歩いた。
少年は、見た。いや、見てしまった。
「う……うわぁあああぁぁああぁあぁぁあ」
真下にあるはずの、
街がなかった
最初のコメントを投稿しよう!