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ここはある大陸の森。周りには様々な種類の木が立ち並び、太陽の明かりを遮り地面に深い陰を落としている。
視界も悪く、何か得体の知れない者がいてもすぐには気付けないだろう。
そのような不気味な場所に、一人の青年が籠を片手に、鞘のない両刃の剣を背中にぶら下げ、無表情で立っていた。
その青年は驚くほどの美形である。青年が「私は女だ」と言えば素直に信じてしまいそうなぐらいの美形だ。
睫(まつげ)は長く、細長い唇、神秘的な光を発しているように見える金髪、そして左右で色の違う切れ長の眼。右は燃え盛る炎を連想させる赤、左は対照的な海のような深さを思わせる。
少しの間静止していた青年は、ゆっくりと周りを見渡し、一本の大木に生えているキノコを発見すると、キノコを採取すべく大木に向かって歩き出した。
青年がキノコを採っていた一方、一人の少女が森を怯えたように歩いていた。
その少女は、何でこんなとこに一人で来なきゃいけないのよ!普通護衛ぐらい付けるでしょ帰ったら文句言ってやる!等と思っていた。
そんな風にブツブツ言っていると、後ろで何か聞こえた気がして「何よ!」などと少しヤケになって振り向くと、五匹の狼みたいな魔物がいた。
振り向かなきゃ良かったテヘヘなんて星が付きそうな事を思っていたら、狼っぽいのが涎を垂らしながら走ってきたもんだから少女はキャーッ!誰か助けて~!とかなんとか叫びながら狼から逃げるべく走り出した。
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