序章

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その日、少年は小高い丘に立っていた。 アスレイア王国はこれから春を迎える。緑豊かなアスレイアの草木は一斉に芽吹き始め、春風に乗って花の香が運ばれてくる。 少年は足元の小さな紫色の花を見る。少年は春になるとこの丘で咲く名もないこの花が好きだった。 「もう三年か………」 少年が記憶を無くしてこの町にたどり着いて、早三年がたとうとしていた。 少年の名はブレイド=ロア。この物語の主人公である。
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