序章

9/19
前へ
/305ページ
次へ
コボルトが一歩歩み寄ると、ブレイドは顔めがけてナイフを放った。それと同時にイシュールを抱え、町の方向へ逃げ出す。 ナイフはコボルトの額をかすめたが、致命傷には程遠かった。 「いデェ」 コボルトは額を抱え顔を歪めた。その隙にブレイドは出来るだけ遠くに逃げなければならなかった。 しかし、コボルトは怒りに燃えて、手に持った槍を力の限り投げ付けると、ブレイドの足を絡めとる。ブレイドは勢いよくつんのめってしまった。 腕の中のイシュールがにゃあと心配そうに鳴く。 コボルトは昼間の日の光の下とは思えない速度で駆け寄ってくる。口からはよだれがとめどなく流れている。 ブレイドはもはやなす術もなくなっていた。
/305ページ

最初のコメントを投稿しよう!

493人が本棚に入れています
本棚に追加