物語は始まった

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………夏 太陽光がジリジリと地面を熱くする……… 地面から蒸発した水蒸気の効果で、向こう側の景色がゆらゆらしている…… 青い空には、白く大きな入道雲が浮かび、近所の畑には、ひまわりが咲き乱れていた……… そしてセミも鳴いていた…… ミーンミーンミーンミーーミーンミーンミーンミーーミーンミーンミーンミーンミーーミーンミーンミーンミーンミーンミ「だぁうるせぇ‼‼」 今は昼休み。 椅子にふんぞり返って下敷きで自分を仰ぎ、教室の窓から入道雲を見ていた少年は、イライラとして言った… 「しかも暑い‼」 少年は、ワイシャツを第三ボタンまで開け放っていた… この少年の名はカブシ。 「夏だからしょうがないだろ?」 横で椅子に座って、やはり下敷きで自分を仰いでいる少年は、アキラ。 二人は、昔からの親友である。 「くっそぉ……クーラースイッチON!」 「装備されて無いよ!扇風機だけだっ!」 教室の四隅の壁にある扇風機が、それぞれ首を振って、クラスメートたちに幸せを届けていた。 ブォォォ✨ 「おいアキラ、職員室行こうぜ?」 「な、なんで急に!?クーラー装備しろって言うのか?……はっ!だめだめだめ!」 「なんでだよ~」 「目的が、職員室で『涼む』だから!」 「見破られた!?くぅ………きゅ、急にお腹が!」 「そこ頭だろ?……確かに職員室にも保健室にもクーラーあるけど………我慢しろ!!!みんな暑いんだ‼」 やれやれ、とアキラは首を振った…… このちょっと頼りない感じのカブシだが、彼が友を守るとき、まるで別人のように頼もしくなるから不思議だ。 キーンコーンカーンコーン💥 「あ、昼休み終わった……」 「五時間目何だっけアキラ?」 「夏の大イベント、林間学校の説明&班分けなどなど、だぜ‼」
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