無名作家のおとぎばなし

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ビ――――――――――――――! けたたましいサイレンの音が響き渡った。 『《夜中に寝言を言う羊》、こちら監視本部。アリスが逃げた』 「《星を獲得した兎》、アリスが逃げた?どこだ」 『B地区第二ブロック[涙の湖]からC地区第四ブロック[お菓子の家]方向へ南下中』 「了解、先回りしてみる。[トランプの兵隊]を両地区の出口に配置してくれ。あと援護にも少し」 『わかった。スペードの[ジャック]から[エース]を援護に派遣する。それからアリスはグレネードを持っている。弾は残りニ発だ』 「ライフルの使用許可を」 『許可しない。無傷で捕獲だ』 「は?ざっけんなクソ上司!そんなの無理に…」 プッ、ツー…ツー…ツー…… 「切りやがった!」 ヘンゼルはオートバイの無線を乱暴に切ると、車体を捻って180°反転させた。
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