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緊急事態の時、人はどうするか。
―あがく、考える、諦める。
そんなとこだろう。
じゃあ、異常事態の時は?
人はただ傍観することしかできない。
例えば、さっきまでの俺がそんな感じ。
呑気にテレビなんか見てやんの。
アナウンサーの声は右から左。
理解してない。
ただ、息をするだけ。
二酸化炭素製造機。
無意識に察したんだと思う。
考えたってどうしようもない、理不尽な事が起きたんだって。
だって半島が丸ごと無くなることなんて、人類の歴史の中であったか?
2つの国家が瞬時に消えたんだぜ?
マジシャンの一大イリュージョンかっつーの。
現実逃避とはよく言ったもんで、そりゃ逃避したくもなるわな。
こんな現実。
見たくなかった。
残念なことに、俺を現実に戻したのは相方の声だ。
「さーて、そろそろ考えよか。」
「・・・・・・。」
「・・・そうだな。考えることが多すぎて、何を考えるかをまず考えないといけないけど。」
「ややこい言い方すんなぁ。まあ、とりあえず今日何するかやろ。」
「そうだな。それもある程度限られてくるけどな。」
「せやな。まずは・・・。」
そう言ってテツは霞を見た。
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