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「すみませーん。」
「あ、いらっしゃい。何かお探しですか?」
「ええ。人に贈るんですよ。」
「ほー、彼女にプレゼントですかー?」
「ま、そんなとこです。」
「・・・何の花にしましょか。」
「何かオススメありますかね。」
「あー、これなんかええんちゃいます?チューリップ。紫なんて綺麗でしょ?」
「ほんとだ。じゃ、それ一つ。」
「まいどー。」
・・・いつまでこのぬるいボケを続けるのか。
「じゃあ、これ。お代は950円になりますー。」
「・・・駄目。やり直し。」
「は?」
「『お誕生おめでとう、靖彦。俺は君の奴隷さ。どうかこれからもこき使ってやってくれ。』っていいながら渡せ。」
「・・・自分へのプレゼント?・・・さみしっ!」
耐えきれなくなったのか、店員、哲雄が笑う。
うるさい、花屋ゴリラ。
可憐な花に謝りやがれ。
「誰がゴリラじゃ!」
口に出てたみたいだ。
知るもんか。
実家が空手道場のくせに、ゴリラみたいな体でチューリップ売ってる方が悪い。
綺麗なチューリップに謝りやがれ。
「あほう、謝るか!」
またまた心の声が出てたらしい。
頑張れ、俺の自制心。
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