12月31日①

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「すみませーん。」 「あ、いらっしゃい。何かお探しですか?」 「ええ。人に贈るんですよ。」 「ほー、彼女にプレゼントですかー?」 「ま、そんなとこです。」 「・・・何の花にしましょか。」 「何かオススメありますかね。」 「あー、これなんかええんちゃいます?チューリップ。紫なんて綺麗でしょ?」 「ほんとだ。じゃ、それ一つ。」 「まいどー。」 ・・・いつまでこのぬるいボケを続けるのか。 「じゃあ、これ。お代は950円になりますー。」 「・・・駄目。やり直し。」 「は?」 「『お誕生おめでとう、靖彦。俺は君の奴隷さ。どうかこれからもこき使ってやってくれ。』っていいながら渡せ。」 「・・・自分へのプレゼント?・・・さみしっ!」 耐えきれなくなったのか、店員、哲雄が笑う。 うるさい、花屋ゴリラ。 可憐な花に謝りやがれ。 「誰がゴリラじゃ!」 口に出てたみたいだ。 知るもんか。 実家が空手道場のくせに、ゴリラみたいな体でチューリップ売ってる方が悪い。 綺麗なチューリップに謝りやがれ。 「あほう、謝るか!」 またまた心の声が出てたらしい。 頑張れ、俺の自制心。
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