🍀夢のサイドカー🍀

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🍀夢のサイドカー🍀

その頃の父は、ホンダのカブに乗っていた。私達はそのバイクの事を『カブ号』と呼んでいた。今思えば何と、まんまなチープなニックネーム…でもニックネームをつける程に私達はこのバイクに親しみを持っていた。 それというのも、父がそれに乗って出掛ける時、必ずといっていい程、私と弟を一緒に乗せてくれていたからだ。いわゆる3人乗りで、法律で認められているか否かは別として、私が父の後ろに乗り、弟が父の前に乗る。いわば弟と私で父を挟んだ形だ。父は一直線のひと気のない田舎道に来ると、サポートしながらではあるが、弟にハンドルを持たせる事がしばしばあった。 私はその度に泣きそうになるくらい、ハラハラと怖い思いをしたものだ。
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