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『護りたい存在』
護りたい存在ができた。
前はそんなモノは何一つなかったのに…
この船に乗って、仲間という存在に出会って…その中で過ごしていくうちに、いつの間にか守りたいと…そう思う感情が生まれたんだ。
『わかった首は…やるよ…………だだし身代わりの、……このおれの命一つで!!勘弁して貰いてぇ……!!!』
『ルフィは海賊王になる男だ!!!』
この一味が護られるなら、この身がどうなろうと護り抜きたいと思ったんだ。
『待て待てクソヤロー』
『おめェが死んでどうすんだよ…!!てめェの野望はどうした…バカ!!!』
サンジ…
……サンジ…
ありがとう………
『後生の頼みだ』
悪いがな。てめェを含めたこの一味が好きなんだ。
だから…おれはてめェだって護りたいんだ。
サンジ……
こんな役目はおれ一人でいいんだ。
震える体は恐怖からなのか、ただでさえフラフラする体を支えるのに必死だからかさえわからなかったが、願いが聞き入れられた瞬間震えが収まった気がした。
あぁ、これでおれ以外の命は守られたと………
ドクドクとうるさいくらいの鼓動の音がおれの中で響いて、その中で…背にかかる喜びの声に、おれはまた安心した。
護りきれたと。
直後側にやってきたコックにまた安心した。
護りたい存在が失われずにいた事が…
『ここで何があったんだ!?』
慌てるコックの声がおれにかかってでもおれの足は体は声がする方に振り向く事もできなくて、立っているので精一杯だった。
『なにもな゛かった』
なにもなかったんだ。
なにも…………
『ハァハァ…なにも…なかったんだけどよ…疲れちまった……わりぃけど寝かせてくれ』
おれは少しだけ笑って後は…襲ってきた闇にその身を預けた。
暗闇の中で微かな温もりを感じた…
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