怒り

3/11
前へ
/426ページ
次へ
駅を出て、少し歩いた所でユミは足を止めた。 目の前には大きなビル。 「ここ?ユミの彼氏が働いてる場所って…」 「…うん」 「そっか…。彼氏は何時くらいに仕事終わるの?」 「多分、6時ちょっと過ぎ…。あともう少しだと思う」 「えっ、じゃあ見つかったらまずいよ!とりあえず隠れなきゃっ」 「…あっ!そうだった!」 慌てて、あたし達は近くの駐車場にとめてあった車の後ろに隠れた。 「…危な~。先に向こうに見つかっちゃったら終わりだもんね」 そう言いながら苦笑いするユミ。 あたしも思わず、ため息をついた。 「ほんとだよ…。その瞬間に終わるよね…」 そんな会話を交わしながら二人で笑いあってた時… 「…あっ!!!出てきた!!」 ユミが目を見開きながら言った。 「…えっ!!」 あたしも慌てて、ユミの視線の先に目をやった。 すると、前にユミから携帯で見せてもらったことのある男の人が、タバコを取り出しながら歩いている姿が目に入った。 .
/426ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1117人が本棚に入れています
本棚に追加