友達の存在

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ユミの話はこうだった。 五日前、ユミは彼氏とデートしたらしい。 その時に、彼氏の服からいつもと違う香水のにおいがした。 少しユミは不審に思ったけど、その時は何も言わなかったそうだ。 そしてその日の夜、彼氏の車でドライブをしていた時… 座席の下に、明らかにユミのではないイヤリングが落ちていた。 「何これ?うちのじゃないよね?」 イヤリングを拾い、ユミは彼氏に言った。 しかし彼氏は、いくら問いただしても、知らないの一点張りだったそうだ。 そんな彼氏にユミは泣きながら怒り、彼氏の車から降りて一人で家へ帰ってしまったらしい。 「その日から連絡はとってないの?」 「とってない!!とる気も起きない!!!」 あたしの問い掛けに早口で即答するユミは、明らかにいらついていた。 でも、無理もない…。 あたしも、話からユミの彼氏は浮気しているとしか思えなかった。 「でも…確実な証拠がないよね。浮気現場を目撃したわけじゃないし…。 ユミは、もし彼氏が浮気してたらどうするの?」 俯いているユミの顔を覗き込む。 ユミの目には今にも溢れそうな涙がたまっていた。 「わからない…。でも、別れたくないよぉ…。 グスッ…こんなに好きなのに…。 辛いのに…どうすればいいのかわからない…」 途端に泣きだすユミ。 そんなユミを見て、あたしはユミの彼氏に対しての怒りが込み上げていた。 .
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