─ 幸せの匂い ─

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煙草の匂いがする。煙草は苦手だけどこの匂いは好き…。大好きな彼の匂い。 『そうだ、私…グレイの部屋にいるんだわ…』 ゆっくりと目を開ける。見慣れてしまった綺麗に整えられた部屋。 グレイは椅子に座り書類を見ながら煙草を吸っている。私が起きた事に直ぐに気付き隣に来てくれる。 「辛くはないか?」 昨日は無理をさせてしまったから、っと言いながら頭を撫でてくれた。 頭を撫でていた大きな手が私の頬に触れる。 「平気よ、ありがとう…」 グレイの手にキスをする。 グレイもお返しにキスをくれる。 手に、頬に、唇に…。 「こうしている時が一番幸せだと思うわ…」 笑いながら呟く。 大好きな人にキスをされるのは幸せな事でしょう。 「俺も幸せだ…」 微かに煙草の匂いがする。苦手な匂い、でも安心できる、大好きな人の匂い。 ねぇ、抱き締めて…私も抱き締めてあげるから…。 -end-
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