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突然だが、私には好きな人がいる。
しかし、その恋は叶う事がないだろうという諦めに似た確信があった。
それは別に私が『彼』に釣り合わないとか、そういう理由ではない。
自分で言うのもなんだけど、私の高校のバスケ部のエースとして走り回っているために自然と引き締まったスタイル。
昔から手入れを欠かさなかった自慢の長い黒髪。
自分では目付きの悪さを多少気にしているが、クールな印象を与える切れ長二重の目。
自分ではあまり意識しないが、世間的には『美人』の分類に入るらしい。
だからといって、私はつけあがったり調子に乗ったりせず、極めて謙虚に生きているため、恨まれたり疎まれたりはせず、友達もけっこうたくさんいる。
告白された事も何度もあるし、他校や大学生からも交際を申し込まれたくらいだ。
それらを断る度に友達から、実は彼氏がいるのとか、好きな人がいるのとか、いろいろ質問される。
私はその度に、今はそういう事に興味がないだけだと言って追及をかわしていた。
だけど、本当を言うとそうでないのは前に言った通りだ。
私にも好きな人はいる。ただ、その相手は少し、いや、かなり『特殊』な相手だから皆には言えないだけ。
誰に言っても理解されないだろうし、理解してもらえるとも思わないから。
だってそうでしょう?『家にある絵の男の子』に恋をしているなんて………
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