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「…で?用事って何だ」
『ワシがこうしてわざわざ迎えにきとるんじゃ…わかるじゃろう?』
「……任務、か」
俺は眉間に皺を寄せて呟いた。
…まぁそんな事だろうとは思っていたが…
唐突にラキアは俺の後ろに移動して思いきり俺の背中を押した
『ホレ、早う行くのじゃ』
「…!!」
俺の体が宙に投げ出される。俺はそのまま宙で一回転し、なんとか着地することに成功した。
「…てめぇ!ふざけやがって!!」
俺が怒るのも無理ないだろう。
木の上に立っている人間の背中を押したりしたら…。普通の人間ならそのまま落ちて、下手したら死亡だ。
「俺は不思議人間じじいと違って空なんて飛べないんだ!危ないだろうが!!」
『無事だったのだからよかろう?だいたいこんなことぐらいで怪我をするようじゃぁ【最高の暗殺者-アサッシスト-】の名が泣くぞえ』
「そういう問題じゃない…」
宙に浮かんだままほくそ笑んでいるラキアに、俺は服についた埃をはらいながら言った。
「…もういい!行くぞ…」
『何処かわかっているのかの?』
「…お前が呼びにくるほどの任務だ。ロードの所だろ?」
『ご名答じゃ!さすが我が息子じゃな。早う行かなければロードはお怒りになるぞえ~』
…本当に食えないじじいだと思う。こんなのが育ての親だと思うと恥ずかしいが、しょうがない。
今はそれどころではないのだから。
俺は全速力で駆けて、ロードがいる屋敷に向かった。
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