懐古の任務

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「【最高の暗殺者-アサッシスト-】フォングスただいま参上しました。ロード・シャーキ様との面会を」 俺がそう言うと、そのやけに馬鹿でかい扉がギギィーッと開いた。 『入れ』 どこからともなく声が聞こえる。 その言葉を聞き入れ俺は屋敷に足を踏み入れた。 …もちろんラキアもだ。 「ようこそ、お待ちしておりましたよ…」 そこには20歳半ばの青年が立っていた。赤い髪をスラッと伸ばして後ろで結んでいる。 その言葉と共に俺達を迎え入れてくれたのは、ロードの付き人、というか腹心のひとりであった。 「…」 『ごくろうじゃなぁ♪』 ラキアは相変わらず陽気な声でそう言った。 ラキアは俺と違った意味で特別視されている存在だ。本来、こんなまどろっこしい事をしなくとも、ラキアひとりならロードのもとへすぐに行けるはずだ。 …まぁそうしないのは奴の性格なんだろうけれど。 「では、ご案内しますので…」 そう言い、前を歩きだした腹心のあとを俺達はついていった。 それからとてつもなく長い廊下を10分ほど歩くと、突き当たりが見えた。 そこには扉も何もなかった。
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