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着替えてリビングに入れば、そこにいたのはヴィヴィオ一人だった。
「今日はお母さんは確か、本局だっけ?」
「そう、本局での戦技教導。だから朝ご飯は私が作りました~!」
「いただきます」
「…………」
腕をバーンと勢い良く広げてポーズを付けていたヴィヴィオだが、いのりは無反応。
ヴィヴィオは泣きながら朝ご飯を食べ始めた。
「ああもう、泣かないで姉さん!」
「うう~…いのりが無反応~~」
「ごめんなさい、美味しいよ?」
「そんなの解ってるよ~…!」
ただ、ヴィヴィオはいのりの反応が欲しかっただけだった。
そんなやり取りをしてながら食を進めていると、目の前にモニターが現れた。
いのりとヴィヴィオは即座に気持ちを入れ替える。
それが緊急通信を表すものだったからだ。
《こちらロングアーチ。事件発生、直ちに集合して下さい》
聞き終わると同時に二人は飛び出した。
外には同じ通信を受けたアルヴィア達の姿がある。
しかし、いずれも子供たちだけのようだ。
「朝っぱらから呼び出しかよ!」
「アルヴィア、フェイトさんは?」
「次元航行部隊の任務とかで行っちまったよ。ついでにティアナ先輩もな」
「いのり、なのはさんは?」
「本局で戦技教導だよ」
「ぐずぐずしてても始まらないよ。みんな行くよ!!」
隊長陣が軒並みいない中、一人残っているヴィヴィオが指示をだす。
「緊急招集だから走ってたら間に合わないね……。こんなこと無いだろうと日和過ぎてた私達が馬鹿だったわけね。飛行を隊長権限で許可するから、用意して!」
ヴィヴィオに言われ全員が一斉にデバイスを起動させる。
ヴィヴィオ自身もデバイスを起動する。
「行くよ、クリス!」
赤いクリスタルのデバイス、正式名称セイクリッドハート。レイジングハートの待機モードによく似たその外見を持ったヴィヴィオの愛機。
初等科四年のころにプレゼントされたものだ。当時ついていたうさぎ型の外装アクセサリーは外してしまったが、今でも変わらぬ相棒だ。
「三分で行くから…っ!!」
飛び立つ、そのあまりの速さにいのり達は出遅れたが、意地と気合いでついて行った。
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