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ヴィヴィオが目指して飛んだのは機動六課隊舎ではなく、直接ヘリポートへだった。
出撃時にはヘリを使い現場まで急行するからだ。
本当に緊急の際は自力で飛んで行くこともあるが、出来るだけ魔力は温存するに限る。必要な時に全力を出せなければ意味がない。
目指すヘリポートには先客がいた。
機動六課部隊長はやてに聖王部隊のチンク、ノーヴェ、ウェンディに加え、そしてヘリパイロットであるヴァイス・グランセニックの五人。
「お、来たみたいっすよ」
「聖王部隊隊長ヴィヴィオ・高町、以下四名到着しました」
ヴィヴィオの敬礼に続き降りた四人も息も絶え絶えに敬礼をする。
そんな四人をはやては苦笑で見つめた。
「お疲れさん。バリアジャケットは解いてくれて構へんよ」
それからはやては四人の息があらかた落ち着くのを待ってから事の次第を話し始めた。
「とある古代遺跡内部にてロストロギアが見つかったんよ。そんで本局が回収部隊を向かわしたんやけど、連絡が取れへんらしいや」
「何かあったと、そういうわけですね?」
ヴィヴィオの問いに顔の動きだけではやては肯定する。
そして、ただ、という前置きをしてから続ける。
「連絡がつかへんから状況も解らんし、何があるかも解らへん。そないな状況の中みんなには先行部隊の救出に向かってもらいたい。本来なら初任務には向かないんやけど、仕方無い」
今日は運の悪いことに先輩陣と隊長陣が別任務で六課を離れてしまっている。
本局にいるなのは、次元航行任務のフェイトとティアナを始めにスバルは災難救助の講習に行き、エリオとキャロはルーテシアという友人に会うため別世界へと行ってしまっている。
「聖王部隊四名、並びに高町いのり、アルヴィア・T・ハラオウン、八神さくや、カナード・スペラテス四名には任務に付いてもらいます。内容は要救助者の確保、余裕があるならばロストロギアもついでに確保。あんまり無理はせんといてな?」
任務を与えられた計八人は一斉に了解、と返事をする。
「ヴァイス君、準備は出来とるか?」
「今すぐにでも飛び立てますよ!」
八人全員が乗り込んだのを見届けヴァイスは後部ハッチを閉じ、はやてが離れたのを見計らってプロペラの回転数を上げ、上昇した。
「…………気い付けてな」
はやては遠ざかって行くヘリに向かって呟いた。
「……主はやて」
「はやて……」
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