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それから私は毎日彼女に会いに行った。でも、彼女は私に会いたがらなかった。何故?突然に…?心当たりは春香と言う女。まさか、アシュリー…。
「あの子に好意を…?」
そんなの嫌…!アシュリーは…アシュリーは私のものなのに!
「アシュリー…!」
不意に私は彼女の後ろ姿を見付けた。森の方角だ。駆けた。息が切れる。胸が痛い。普段は運動なんてしないもの。苦しい。アシュリー。私の何が駄目なの…?
「教会…?」
彼女は入って行った。中へ。奥へと。其所から聞こえて来た。聞きたくない言葉。私以外に言って欲しくない言葉。
「愛してる、春香。」
何故。彼女はこの数日の間で私から離れた…?
わからない。わからない。わからない。わからない。わからない。わからない。わからない。わからない。わからない。わからない。わからない。わからない。わからない。ワカラナイ。
私はその場で踞った。頭が痛い。ガンガンする。一気に気分が悪くなった。吐きそうだわ。辛い。何もかもが辛い。視界が霞む。真っ白な世界。いつの間にか目の前に彼女が立って居た。
「まだ私を追い回すの?アンリエッタ。あのね、私は同情が嫌いだった。保護者面するお友達もね。」
「それ、私の事?最初から愛していなかったの?」
「うぅん、大好きだった。アンリエッタの可愛い笑顔も美しい金髪も。でも、絵本の中に出てくるような美しい女性が現れたから仕方が無いでしょう?」
「仕方が…ない…?」
「私、思うのよ。『薔薇姫』が一人しか愛さなかったのは一人に夢中になり過ぎたからって。そして、飽きられた女性は行方不明なんかじゃなくて、合わす顔が無くて引っ越したんじゃないかって。」
何を言っているのかワカラナイ。アシュリーも壊れてしまったのだろうか。他の女との交わりを求めるようになってしまった。私、アンリエッタではなく別の女を…。
私は立ち上がる。よく見たら外はもう真っ暗だ。そうか…私、少し眠ってた?今までの事が夢の中の夢ならどんなに良かったか。頭が痛い。もう帰ろう。一眠りしたら元気になる。
「でもね、アンリエッタ。私は今でも貴女が大好きよ。」
甘い…甘い甘いあの笑顔。美しい。なんて美しいの。あぁ、アシュリー…。その笑顔を私だけのものにしたい。
「大丈夫よ。これからも友達としてやっていけるわ。」
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