第一話

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驚いているのか、戸惑っているのか、こちらから知ることはできない。 だが、 『…そうですか。今までお疲れ様でした』 動揺の、どの字も感じさせない返事だった。 もう少しは驚くなりしたらどうです!と叫びたくなるのを押さえる。 「…ですので加奈子とこうして話すのも最後でしょう」 『そうですね。…では手続きがありますので、これで』 プッと向こうが電源を切る音が耳に聴こえた。 ここまで冷たい反応だと怒る気力も湧かない。 「はぁ…今日は冷えますね…」 季節は三月、私が対特を辞める決意をした日、刀弥様中学卒業の日でした。
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