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私が刀弥様と初めて逢ったのは、対特の良き理解者だった七星夫妻が亡くなった事件の後、病院のベットの上でした。
「…誰?」
ベットから顔すら動かさず、虚ろな表情の刀弥様。
「お初になります。私は七星様の」
「帰って」
え?と思いました。まだ私と二歳しか違わない筈なのに、その表情は、全てを見捨てた世捨て人のように冷たく、暗かった。
「何故ですか?」
「誰も見たくないから…出てって」
えも知れぬ迫力に、私はただゆっくりと病室を出た。
ただどうしても刀弥様が気にかかり、対特の上司に頼み、刀弥様の保護担当となった。
生前、ご両親に終身雇われたメイドとして。
あの時から私は、彼の為の従者となる道を選びました。
二度と刀弥様にあんな表情をさせない為に…。
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