重なる時

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ここはミルクディッパー。 そしてここに居るのは、椅子に座って寝てるクマ。 良太郎の姉ちゃんがいなくて落ち込んでる、ハナタレ小僧。 コーヒーを淹れてる良太郎。 それをカウンターに座って見てるカメ。 で…俺、モモタロス。 …なんでこんなところに居るんだ? 全く覚えてねぇ。 つーか…   「なんでみんな憑依した姿になってんだよ!」   俺は良太郎に聞いた。 良太郎は一瞬驚くが、すぐに首を傾げた。   「さ、さぁ…なんでだろ?」   そしてまた何事もなかったかのようにコーヒーを淹れる。 さぁって…良太郎本人もわかんねぇのか? 俺が自分の手を裏表にしたりして、本当に人の姿になっているのか確かめていると良太郎から受け取ったコーヒー片手にカメは余裕な態度を見せた。   「まぁ、いいじゃない。良太郎に変化はないし、僕たちだってこの方が便利でしょ?」   「そうだよ。モモタロスは細かい事気にしすぎ!」   落ち込んでいたはずのハナタレ小僧はいつの間にか復活し、カメに便乗する。 俺が気にしすぎてるだけだってのか? でもこれは見るからにおかしいだろ! 俺が真剣に考えてる間も、他の奴等はそんな事どうでもいいように寛いでいやがる。   「ねーねー、良太郎。僕お腹空いたー」   カウンターまで飛び跳ねて移動すればガキみたいな発言をする。 …まぁ、こいつはガキだしな…当たり前か。   「ちょっと待ってて。今何か作るから…」   人の良い良太郎はガキの訴えを素直に聞き入れ、何かを作ろうとする。 けど、ハナタレ小僧はそんな良太郎の行動を阻止するようにカウンターから身を乗り出し、腕を掴んだ。   「いいよ、別に良太郎でも」   そう言うと小僧は良太郎に…き、キキキキキキスしやがった! カメのコーヒーを飲む手が止まり、良太郎の目が大きく見開く。 そこに居た全員(クマは寝てるから別)が小僧の行動に驚く。
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