重なる時

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口と口が離れれば、小僧はニヤッと笑った。   「いいよね?答えは聞かないけど」   そしてまた顔を近づけて…   「待て待て待て待て待て!」   俺は慌てて二人の顔の前に手を出し、それを阻止する。 おかしいだろ、これ。 なんで腹減ったからってその…き、キスすんだ? しかもハナタレ小僧と良太郎で。 男同士で! 小僧を見れば、奴は不機嫌そうに俺を見てる。   「邪魔しないでよ。モモタロスにはカメちゃんがいるんだから関係ないでしょ」   俺にはカメが? 意味わかんねぇ。 なんで俺にはカメなんだよ…。   「何言って…」   「確かにそうだけど、リュウタにもキンちゃんがいるじゃない」   俺が喋ろうとすると、それを遮るようにカメが言う。 つーか、確かにそうってなんだよ! それに小僧にはクマって…。 俺が頭を悩ませていると、小僧は頬を膨らませて言った。   「だってクマちゃん、全然起きないんだもん!」   クマを見れば、さっきからずっと爆睡してやがる。 こんな事態になってんのに、のん気な野郎だ。   「だからって…」   「ねぇ、良太郎。僕が相手じゃイヤ?」   小僧は俺やカメを退けるように良太郎に迫った。 良太郎は困ったように視線を泳がせるが、ゆっくりと小僧を見る。   「嫌ではないけど…」   ポソリと呟けばすぐに俯く。   「僕が相手でも?」   カメは良太郎を真っ直ぐ見れば問う。 良太郎は小さく頷いた。 …なんだよ、これ。   「何なんだよこれは!」   俺は思わず怒鳴った。 三人は驚いて反射的に俺を見る。
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