重なる時

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心臓がバクバクいってる。 ドキドキじゃなくて、バクバクだ。 顔もありえないくらい熱いのがわかる。 俺はカメに背を向け、落ち着こうと胸に手を当てた。 鼓動がありえないくらい早い。 落ち着け!落ち着け、落ち着け、落ち着け俺! 俺が深呼吸していると背後からカメの腕を回ってきた。 そして俺の身体を包み込む。 俺は硬直してしまう。 いや、何もすることができなかった。 カメの手は俺の身体を強く抱きしめれば、撫でてきた。   「大丈夫。僕は先輩が好き。僕の一番は先輩だけだから…」   俺はその声にビクッと反応すれば、思わず叫んだ。   「うわあああああぁぁぁぁぁぁぁ!」   目を開けるとそこはデンライナーの中だった。 そして目の前にはイマジンの姿で驚いているカメ。 夢…? 今までのは全部夢だったのか? 俺は一気に脱力した。   「先輩、大丈夫?」   「お、おう」   珍しく心配するカメに俺はぎこちなく返事を返す。 俺はなんつー夢を見てたんだ。 カメと……するなんて…。   「先輩」   「なっ、なんだ?」   俺が夢を思い出していると、カメが遠慮がちに右腕を上げて左の手でそこを指差した。   「これ、離してくれると嬉しいんだけど」  そこには、カメの腕をがっちりと掴んでいる俺の手があった。   「っ!」   俺は慌ててその手を離した。 俺、寝てる間ずっと掴んでたのか? 心拍数が上がる。 チクショウ。 寝ても起きてもこんなにドキドキして…。 どうしちまったんだよ、俺。 その日、俺はカメの顔をまともに見れなかった。           The end
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