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【3号機】こと【原2等空尉】・【工藤1等空曹】の両名は、以前話したと思うが、複座型で1つの機体に2人機乗している。
原は、F‐2パイロットとして活躍していたのだが、その操縦適性を買われ特機へと呼ばれた。
音速の世界に比べ、速さ的に物足りない部分もあるのだが、任務性や、誰もが操縦できる機体で無い事から、この仕事に満足していた。
工藤は、元AWACS(空中警戒管制機)のレーダー員として、勤務していたのだが・・・その処理能力を買われ特機へ、
特機着隊後、その能力はさらに向上し、対砲迫レーダーや数々のレーダー機器・計器類を処理・分析できるようになり今では、この小隊に欠かせ無い目や耳の役割を担っていた。
その工藤が今、モニターを見つめ、徐々に迫り来る2つの光点の解析に励んでいた。
「う~ん?」
「どうした?工藤1曹にしては珍しい声なんか上げて」
「それが、原2尉も見てると思いますが、北から2機の航空機が約150kmの地点をこちらに向って飛行中です」
「ああ、これか!確かに向って来てる。だが、この速度だと民間機がこの辺の空港にでも向ってるんじゃないか?」
「ええ、始めは自分もそう思ったのですが、さっき衛星写真で確認した所、半径100km圏内に空港どころか飛行機が着陸出来そうな場所が、確認出来なかったんですよ。」
「!」
「それ、本当なのか?」
「はい、間違いありません!」
原は、少し黙り込む・・・・
「何か嫌な予感がするな」
「はい、自分も同じであります!」
そう言うと、原は無線を開いた。
「ピッ!」
「特機3から特機1へ!」
「少し気になる事があるのですが・・・現在地より北3km地点の山の頂まで偵察許可を貰えないでしょうか?」
「こちら1号機、何かあったのか?」
「いえ!まだ何もないのですが、北から低速で接近する航空機を確認しに行きたいのです!」
「時間は取らせません、あくまで確認だけですので我々に30分、いや、20分!時間を頂けないでしょうか?」
「・・・判った。許可しよう!くれぐれも我々の痕跡を残すなよ」
「了解!」
そう言うと3号機は、北へ機首を向け進み出す。
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