入学式

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「あっすいません。朝食べてなくてお腹空いてたんで…」 皆の視線の先には徹平がいた。 しかもいつの間にか私のお弁当たべてるし!! みんなが徹平と私のお弁当に注目する。 「先生も一口食べます?この玉子焼きめちゃめちゃうまいんですよ。」 徹平は何の悪びれもなくお弁当を先生に差し出している。 なにやってるの~ 「んっなかなか。お前のお母さん料理上手だな。」 しかも何食べてるの~ 私は何か嫌な予感がした。 「あっ違います。この弁当は僕のじゃなくてあいつのお母さんが作ったんですよ」 徹平はまっすぐに箸で私を指していた。 みんなも私を注目している。 やめてやめて~!! 絶対そうくると思った。 何となく皆私が何か言うのを待ってる気がする。 私はいっぱいいっぱいになり、もう訳がわからなくなっていた。 「あはっ…どうぞめしあがれ」 クラスが一気に爆笑の渦に巻かれる。 穴があったら入りたかった。
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