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「まだあの子起きないのかい?しょ~がないねぇ。
ももちゃん、遅れちゃうからあんなの置いて先にいっていいよ」
下に降りると、徹平のお母さんが言った。
徹平のお母さんはなんていうか…見るからに<お母さん>って感じの温かい人だ。
サバサバしていて飾らない人。
私にとってもう一人のお母さんみたいなものだった。
「うん。でもまだ大丈夫だから…もう少し待つね」
私はソファーに座りながら答えた。
「本当に徹平はどうしようもないなぁ。誰に似たんだか」
新聞を読みながら徹平のお父さんが言う。
「私じゃないことは確かだよ。だらしないとこはお父さんそっくり!
私に似たのは容姿端麗なとこだけかしら…」
すかさずおばさんが答える。
「おいおい、誰に似て容姿端麗だって?さっきから自分の息子つかまえてだらしないだのなんだの…ひどくない?」
みんなで盛り上がってると、やっと徹平が起きてきた。
「ほんとのこと言っただけだよ。さ、早く支度しな。ももちゃんまで遅刻しちゃうだろ」
おばさんが徹平にタオルを渡す。
「はいはい。」
徹平は頭をかきながら洗面所に向かった。
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