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子供がうずくまっていた。
ぼうっと、ただただ目の前の宙を見ている。
幼稚園に上がるかどうか、というような小さな小さな子供だ。
しかし、ぼうっとした表情とは逆に子供は実はパニック状態を通り越していた。
自分が今どんな状況にいるのか全く分からない。
(お母さん…どこ?)
数時間前まで、子供は確かに手をつないでいたのだ。
唯一の家族、母親と。
――あの時、子供が外に出ると外はまさに「世界の崩れ」のただ中だった。
空からは瓦礫が降り、地面は割れ、そこに人が瓦礫が埋まっていく。
そんな中を、確かに子供は母親と…唯一の家族と…しっかりと手をつないでいたのに…
今、子供はただ一人、「そこ」にいた。
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