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いつの間にか化け物達が、子供に近づいてきていた。
化け物、としか子供には見えないその姿。
「人間?」
「何でここにいんだ?」
「人間、人間♪」
何匹いるのか。いつの間にか子供は取り囲まれていた。
逃げ道は無い。
その前に身体も恐怖で動かない。
化け物の1匹が子供をつまみ上げ、自分に近付けた。
恐ろしい顔が子供に近づいてくる。
今まで、あまりの恐怖に声も出なかった子供だが
「死ぬ」
「死ぬ」
ただ直感で思い、叫び暴れた。
「ぎゃあぁぁっ、やだっ、やあーっ」
「何だよ、これ」
化け物がつぶやく。
次の瞬間、子供は飛んでいた。
…正確には「投げ飛ばされて」いた。
ガッ!
少しの浮遊の後、地面に激突する。
肩、背中…身体全体への激しい痛みがきた。
(……なに?)
そのショックで一瞬、子供の何もかものスイッチが切れる。
目は瞬きもしない。
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