私と佐伯さん

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私はそろそろ笑いを堪え切れずにいた。 一様に「おめでとう」と照れたように笑った男性社員が声をかけて来るのも確かに滑稽なのだが。 柱の裏に隠れている佐伯さんはことさらに滑稽だ。 こっちの仕事が終わるまで気を遣って待っているのは分かるのだが、柱の裏から時々ひょこっと顔を出してこちらを伺う、その姿は人見知りして出るに出られない猫に似ていて笑いを誘う。 我慢も限界だし、そろそろいい時間なので椅子から立ち上がる。途端、テトテトと佐伯さんは駆け寄ってきた。その姿がまた意を決した猫のようで私はついに吹き出してしまった。 「なんで笑ってるんですか?」 「だって佐伯さん、可愛いんだもの。」 そう答えても佐伯さんは何が起こっているのか解らないようだ。 「すこし待っていてね、直ぐに着替えて来るから。」 「はい!」 佐伯さんは素直な声で返事をした。
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