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家に鍵は掛けない。
我が家には幸か不幸かいや、幸と不幸の自宅警備員がいる。
「ただいま。」
「にゃー。」
幸の方の自宅警備員が出迎える。
黒い彼は、足に擦り寄る。
「はいはい、いまご飯あげるからね。」
缶詰をお皿にあけると、彼はもう缶詰に夢中だ。
「さて、自宅警備隊の隊長は今日も制御室か。」
不幸の方の自宅警備員、まあ私の妹なんだけど、半引きこもり状態。
少し前までは私と同じように外で働いていたんだけど、こ金は稼いだし対人関係が面倒だしって事で部屋にこもっている。
それでもイラストレーターとしてどこかの出版社に雇われたらしく働いてはいるんだけど。
「フィーナ、ただいま。」
「あ、姉さんお帰り。見て見てこのサイト面白くない?」
「…面白いけど、仕事はいいの?」
「うん、昨日担当に原稿を渡したから。また二週間くらい開いたの。」
と実にまったりとした性格でのんびりした生活を送る彼女に、仕事上がりで疲れた私は正直イラッとくる。
そして一番ムカつくのはそんな妹の年収が私の倍くらいと言うことだ。
世の中、不公平だ。
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