姉とわたし

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「産休!?」 姉の一言に、輸血パックを開ける手が止まる。 「口実よ!口実!」 姉の答えは冷静だ。 「ほら、月刊誌の漫画連載だしアシスタントが必要でしょ?」 「それ、本心ではないでしょ。」 実質換算したって二百年は一緒にいるんだから、お互い相手の言ってることが嘘か本当かくらい分かる。 「だって、私だって家に引きこもっていたいもの。収入が増えるんだからいいでしょ!」 わたしは別に引きこもってる訳じゃない、在宅ワークにスタンツを変えただけ。 姉のストレスはこの勘違いが大きな原因であると私は考えている。 でも、理由はどうあれアシスタントが付くと言うのは実に頼もしい。 いくら私が人間に近いと言っても所詮バンパイア。 一般生活において人間とは違う、どうしようもない事がでてくる。 第一、仕事開始時間が日没後と言う時点で不可解極まりない。 「分かった、その変わりちゃんと手伝ってよ?」 「任せておいて!」 姉はそう言うと便箋とペンを持って来て産休届けを作り始める。 わたしは、ダイニングチェアに腰掛けると 少しぬるくなった輸血パックを開けた。
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