醜いウサギ

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しかし、今回は違いました。 女の子は一通り、ぬいぐるみを触ると、   「おじさん、おじさん。 わたしはウサギがほしいの。 わたしくらいでも抱ける、ウサギがほしいの。」     おじさんは困りました。ウサギのぬいぐるみは、その日は売り切れてしまったので、 女の子ののぞんだぬいぐるみは、 残酷ウサギしかいませんでした。   おじさんは、迷いながらも残酷ウサギを恐る恐る女の子に差し出しました。 隣で母親が息を飲み、父親が目をお皿のように丸くしました。   「ウサギだわ、わたしのウサギね! 大きな耳があるわ!それにフカフカしてる!!」   女の子は大喜びして、残酷ウサギを抱きしめました。
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