お前に言っておかなければならない事がある①

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「うわっ。チャック開いてる。いつからだろう?」照れ隠しの独り言をつぶやきながら、貞雄はチャックをしめた。 翔は何となく話題を変えた。 「もうすぐ連休になるけど、貞雄はどうすんの?」 「ああ俺、実家から帰ってこいって言われてんだ」 「そうか。いつこっちに帰ってくんの?一緒にどっか行かね?」 「2、3日で帰ってくるから、全然行ける」 かくして、話題の転換に成功した2人。ついでに、ゴールデンウイークの予定も決まったのだから一石二鳥だ。 周りはバイトだの、サークルだのと忙しそうなのに、2人は常に暇そのもの。 講義をサボることもなく、平凡に日々を過ごしていった。 退屈しかない日々は妙に長く感じるが、振り返ってみるとすごく短い。それは、これといった中身がないからだった。 気付けばもうすぐ、ゴールデンウイーク。 貞雄は数カ月ぶりの帰省で実家に向かっている。もちろん新幹線や飛行機は使わない。安い夜行バスで帰るのだ。 いつもならバスに乗ればすぐに眠ってしまう貞雄。だが、今回はそうはいかなかった。 不思議に思うことがあったのだ。 いつもは夏休みのお盆と、冬休みの正月に帰るだけなのに……。何で今回は呼ばれたんだろう?まさか親父が何か……病気か、それとも離婚か? 本当にわからない。 10分程悩み、貞雄は眠ってしまった。
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