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とりあえず暇なので、ごろんと寝転がる。そして横目で準備体操しているこいつを覗き見る。いや、隣にいるのに覗き見るってのもおかしいが。   「…しっかしなぁ」   なんともまぁすくすくと成長しやがってこの野郎。お父さんは恥ずかしいよ!   と、一人で娘の成長に照れている父親を演じている間に、準備運動が終わったらしい。   「──さ、行こ?」   背中に太陽を背負い、風になびく髪を片手で押さえた可憐な少女が俺に手を伸ばす。なんとも絵になる構図だな。悔しいが認めざるを得ないようだ。   「可愛くなったな」   「へ?…そそ、そんなことないよ?」   両の手のひらをこちらに向け、ブンブンと音が聞こえそうなくらいの勢いで振っている。うむ。性格は変わってない。   そんなことで、少し安心してる自分に違和感を覚えた。ずっと一緒にいたから分かっているはずだろうに。   きっと、いきなりこいつの成長を目の当たりにして戸惑ってしまったのだろう。そうだそうだ。絶対そうだ。   「…おっし、泳ぐぞ!」   「うん!」   差し伸べられた手を掴み、引っ張って大海原へと駆け出した。
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