忍び寄る恐怖

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  当たり前だが、部屋には直人以外は誰もいないので静まり返っている。 そのうえ、部屋中の蛍光灯は全て取り外されている為、暗闇に包まれたこの部屋では、あまり目が利かなかった──というのも、蛍光灯は入居当初から取り外されていたのだ。 理由はよく分からないが、一般的な入居の流れから考えると、家賃を払った時点で部屋を貸し出す立場の大家が最低限必要とされる物を取り付けておくのが常識、また、義務づけられているはずである。 無論、蛍光灯もその1つだ。 「大家のヤロー……明日は絶対文句を言ってやっからな!」 直人は無責任すぎる大屋の管理能力に呆れ返り、部屋の照明スイッチが並んでいる所を指先で探し当てると、ON・OFFと──切ったり入れたりを繰り返しながら苛立ちを打つけた。 だが、そんな次の瞬間、
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