忍び寄る恐怖

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  直人は一先ず身の安全を確保しなければと、トイレの戸を素早く閉めて内側から鍵をかけた。 最悪な状況を考えると、部屋に忍び込んだであろう大家が、今も部屋の何処かで身を潜めているという危険性があるからだ。 直人は、とにかく今は冷静になることが先決だと自分に言い聞かせ、上着のポケットから取り出した携帯電話で現在の時刻を確認した。     ━━23:59━━ 1分後には日付が変わろうとしている。 つまり、今日が4月3日の木曜日だから、もうすぐ4日の金曜日になるというわけだ。  「……4月4日の金曜日?」 そう、それはまさに、赤丸で印された、あの日付だった。 あと1分後……いや、正確に言えば、残り数十秒といったところで時刻は零時を刻むだろう。 かといって、零時になった瞬間に何かあると決まったわけではない。 そう、決まったわけではないのだが、人間に備わっているという第六感──または、本能的なものが直人に恐怖心を与えた。 「まあいい……零時になったからって、別に何もありゃしねえさ……」 誰に言うでもなく精一杯の強がりを吐き捨てた直人だったが、内心では何事もなく零時が過ぎ去ることを強く願っていた──のだが、       ガチャ       ガチャ      カシャンッ! 突然、玄関付近でドアの鍵を開ける音が鳴り響いた。
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