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その音が意味するもの──それは、部外者による不法侵入に違いなかった。
直人は自分を落ち着かせようと息遣いを静め、玄関付近の物音に聞き耳を立てることに専念した。
キキキィィィ―-……
ガチャン!
何の躊躇いもなくドアを開いて部屋へと侵入して来た人物は、
ぎしぃ…
ぎしぃ…
続けざまに重々しい足音を踏み鳴らした。
その足音は人幅程度しかない木目床をゆっくりと歩き──そして、確実に直人が身を潜めているトイレへと向かって来ている。
ぎしぃ…
ぎッ……
やがてその足音はトイレの戸の前で立ち止まると、そのまま静寂を保ち続けた。
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