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その後、刺し込まれた出刃包丁は換気窓から差し込む月明かりをギラギラと反射させながら微動だにすることはなかった。
そんな出刃包丁へ怪訝な眼差しを送り続けている直人は、こんな状況に陥ってしまった原因を今更ながら考えた。
そもそも管理人が顔合わせができないと連絡して来た時点で……
全ての部屋が空き部屋になっている時点で……
トイレの電球以外が取り外されている時点で……
トイレの天井に不審なカレンダーが書き込まれている時点で……
今思えば、全てのことが普通ではなかったのだ。
直人は額から滲み出す冷や汗を拭おうともせず、更に思考を駆け巡らせた。
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