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食事
玄関の外に出てみると、ステンレス製の手摺に肘を乗せながら、一階に面する道路沿いの景色をぼんやりと眺める佳佑の後ろ姿があった。
「わりぃ、わりぃ! 待たせちまったかなあ?」
直人が佳佑の背後からそう声を掛けると、佳佑は徐に振り返りながら、
「待たせちまったかなあ……じゃないだろ! か~な~り、待たせてしまったようで申し訳ございません……じゃないのかい?」
またしても冗談と皮肉を交えた口ぶりでそう言って、かぶりを振りながら直人に微笑んだ。
その後、二人は直人が見つけたという近所の定食屋まで徒歩で向かい、店に入ると空いてるテーブルを見つけ、席へと腰掛けた。
かなりの空腹状態だった二人は、取り敢えず何でも腹に入ればいいといった感じだったので、本日のおすすめメニューという定食を迷わず注文した。
注文を終えた直人は胸元のポケットから煙草を取り出してくわえると、一緒に取り出したジッポーライターで火を点けながら佳佑の方へチラリと視線を送った。
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