“死のカレンダー”

食事

「……にしてもよお、あのアパート、ちょっと古すぎるとは思わねえか？」

直人はそう言いながら天井に向かって煙を吐き出すと、佳佑に答えを促した。

「古すぎ……まあ、否定はしないよ。　それよりも俺は、あのアパートを平気で貸し出してる大家の神経を疑っちゃうけどね？」

「……だよなあ？　やっぱ佳佑もそう思うだろ？」

「あぁ、きっと誰に聞いてもそう答えると思うよ。　それにさあ……何と無くだけど、あの部屋って妙な雰囲気が漂ってない？」

直人は佳佑が言った『妙な雰囲気……』という言葉に強く反応を示した。

「妙な雰囲気……って、一体どんなだよ？」

「うーん……どんなって言われると表現に困るけど、もしかすると、霊的な気配を感じたのかも……」

「おーい、ちょっと待て！」

直人は佳佑の話に割って入るように片手を突き出すと、煙草を灰皿で素早く揉み消し、佳佑の顔をきっと睨んだ。

すると佳佑は自分が睨まれている理由をすぐに悟ったのか、口元に苦笑いを浮かべながら再び会話を続けた。

「……そういえば昔から怖い話苦手だったんだよね？　俺、すっかり忘れちゃっててさあ……って、そんなに凄まなくてもいいじゃないか、直人……」

必死に弁解しようとする佳佑の慌てっぷりを見た直人は、思わず吹き出して笑ってしまった。

そんな直人の様子をキョトンとした表情で見つめていた佳佑も、何のことやらとかぶりを振るなり、直人につられて笑い始めた。

同時に二人の目の前には、本日のおすすめメニューが並べられた。