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横顔
花子が助手席に乗り込むと、はやとが頭をなでた。
「花子ちゃん、眠いだろ~?寝ててもいいよ。」
花子に、優しい笑顔を見せた。
車内はさわやかな海の香りがしている。
カチッ
煙草に火をつける横顔を見ていた花子は、また胸がキュンとなった。
「ふ~。」
煙草を吸うしぐさが素敵すぎる。
まだ高校生の花子にとって、はやとのすべてが魅力的に見えた。
信号が赤になるたびにキスをしてくれた。
煙草の香りがした。
夢心地だった。
「ちょっと待ってて。」
いつの間にかはやとの家に着いていた。
家に入って行ったので、ポツーンと一人に。
ふと目線に入った。
クロネコが散歩している。
「可愛い。」
車をおりた。
朝の空気がさわやかだ。
「おいで♪」
しゃがみ込んでクロネコに声をかけた。
その瞬間、ダッシュで逃げられた。
「・・・・可愛くない。」
目の前には広い公園。
クロネコは公園のしげみへと消えていった。
「何やってるの?」
パッと振り向くと、はやとがもう仕事の服に着替えて戻ってきていた。
「猫がいたから♪」
花子はまた車に乗り込んだ。
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