夏休み前

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部室の鍵を閉めてやっと帰宅。 「また明日ね~。」 「ばいばぁ~い♪」 奈津子と別れて花子は自転車で家路を急ぐ。 (早くはやととメールしたい!) もう、辺りは真っ暗。 蛙の声。 蒸し暑い空気。 たんぼ道。 本当に田舎だ。 その全てを愛せてしまう気分だ。 家につくと、リビングから聞こえる賑やかな声が。 対象的に真っ暗なダイニング。 パッと明かりをつける。 適当に置かれた残り物のおかずがテーブルの上で放置されていた。 ガチャ 冷蔵庫を覗くが何もない。 ガチャ 炊飯器を覗く。 冷えたご飯がわずかに残る。 その時、ガラガラとドアを開けたのは義理の母親。 「うわっ!居たの。なんか言えよ、気持ち悪い・・・。」 義母はそういうとトイレにさっさと行った。 お帰りなんて言わない義母。 花子は両親に嫌われていた。 昔からそうだ。 まともに温かいご飯を食べていないし、家庭の味さえ知らない。 キッチンで一緒に夕食を作るなんて有り得ない話だ。 息がつまる生活。 つねに家を出る事ばかり考えていた。
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