序章

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「チェックメイトだ」 盤上で、キゼノスの落としたビショップがラスベルのキングを倒した。 「実際にクランもこのようになりたいのかね?」そう言いながら、ルークもポーンも 、クイーンすら死ねる状況だ。 手伝いのユグラスがゆらぐ水月を眺めたが、ラスベルは動かない。 「友好の国の商業権は黙らせた。ワッベルワの方も、同じ方向で動いている。」 「武力なき建国、おもしろい発想だったが、武力が絶対であるということを証明 できる機会でもあるのでね」 「なお、投了のとき、条件は一つのみ、貴様の拘束である。なんなら今すぐにでもいいのだがね。」 ラスベルは、倒されたキングをつまみ、口の前に持ち上げた。ガラスでできたそれは、キゼノスを眺めつつも、映し出す。 「―まあ、武力もなんてことはない、やれるだけやるさ」 そして、そのままキングをラスベルは口の中に入れ、グシッと音をたて、噛み砕き始めた。
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