憂鬱その1

5/13
前へ
/25ページ
次へ
「今の時代は顔より心よ」   というのが母の口癖で、私から見ても家族は全員素晴らしく性格がよく、心が綺麗だった。 私も例に漏れず、誰よりも心は綺麗であろうとしてきた。 そんな家族が大好きだったし、自分もその一員であることに誇りをもっていた。   私の周りには友達がたくさんいたし、先生からもかなり気に入られていた。 困っている人を助け、嫌な仕事も進んでやった。   いつの間にか私は〈いい人〉から〈都合のいい人〉になっていた。そんな事にも気づかなかった私は真の愚か者だった。  
/25ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加