憂鬱その1

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自分の名前さえ出なければ。 そこに気になっていたあの人がいなければ。   白くなるほど握りしめた拳はブルブル震え、噛み締めた唇は切れて血が滲んでいた。   学年のマドンナである1組のまどかちゃんは女子の間では顔だけ女として有名だった。 雑誌のモデルをしている程可愛くて、もうスカウトなども受けているらしい。 鼻高々にそれらを自慢して、可愛い顔してクラスのコをイジメる。   それでもスタイルがよくて、顔が抜群に可愛かったらそれでいいのか。 心が真っ黒で汚くても外見が綺麗でさえあればいいのか。       私はその日生まれて初めてこの顔を、この顔に生んだ両親を恨んだ。  
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