6人が本棚に入れています
本棚に追加
桜並木の中、新たにこの学園に新入生が訪れる。
四月の始め・・・・・・
この電王学園は三十周年を迎えた。校長であるオーナー(本名不明)が何を思ったか三十人近くの新入生を迎えたため、かなり騒がしい入学式になっていた。そんな中・・・・・
一人だけ浮かない顔をしながら新入生を見下ろす青年がいた。
「つまんねぇなぁ・・・」
そうぼやいたのは、この電王学園高等部二年、鬼島桃であった。彼はもっぱらの暴れたがりやなためこういう行事は好きではなかった。
「そんな事言ったら失礼だよ。桃。」
苦笑しながらそう言ったのは、中等部からの親友である野上良太郎だった。彼らは入学式が終わり、やる事がないため教室で油を売っていたのだ。
「でもよ、良太郎。新入生ならともかく俺達やる事ねぇんだぜ。」
そう言いながらつまらなさそうに窓の外を見る。良太郎も苦笑していたが
「あっ、忘れてた。」
何かを思い出し桃に顔を向ける。
「んっ?どうしたよ。またハナクソ女の事か。」
桃にハナクソ女と呼ばれる女性は、良太郎の恋人・百合丘華。隣町の女子校に通っている華麗な女性なのだ。
「ううん、華さんは関係ないよ。」
申し訳なさそうに首を振る良太郎に苦笑して、
「じゃあ何だよ。お前の思い出した事って。」
最初のコメントを投稿しよう!