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「はい!半分あげる!」
ずいっと目の前に差し出されたまだ開いてない缶を見て、俺は思わず目をまたたかせた。
顔を上げると、その子はにこーっと笑って、俺の手に暖かいカフェオレの缶を押し付けてきた。
俺が口を開く前に、俺の横に座る。ベンチの方がその子の足より高いもんだから、女の子は両足をプラプラさせてた。
「おい…」
「手、暖かくなるでしょ?」
にこにこ笑われたら、何か無下に出来なくて、小さく「いただきます」を言ってカフェオレの缶を開けた。
コーヒーを飲む方が好きな俺には、ちょっと甘い。
「何かあったんでしょ、おにーさん」
「別に…」
「嘘つきにはサンタさんプレゼントくれないよ」
「いや、もー正月も過ぎたし」
苦笑すると、女の子はにこーっと笑った。
「ちょびっと笑った!」
嬉しそうに言われて、俺はちょっとびっくりした。そんで、次に照れくさくなった。
何、子供に元気づけられてんだよ俺…。
「カッコ悪…」
「何で?おにーさんカッコ悪くないよー?」
顔を押さえてボソッと言うと、女の子がくりくりの丸い目で見上げてきた。
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