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「あ、もうこんな時間?私、帰るからツケといて。じゃ!」
「待ちなさい」
額に青筋を立てて、自分でも分かるほど凄絶な笑みを浮かべながら、呼び止めた。背後には、不動明王尊のスタ○ドが焔をたぎらせていることだろう。
「ちょ、著作権に…い、違反するから…す、ス○ンドとか…い、言わない!」
背後の○タンドに怯え、どもりながらもツッコんだ。てか、やっぱり、読心術使ってますよね。
「そんなことより、美弥子さん、もう23日分もツケが貯まってるんですよ?いい加減払ってくれませんか?」
不動明王が降魔の利剣で貴女のことを断ち切る前にね。
「し、仕方ないわね。……でも、あんまりお金持ってないから今日の分しか払えないわよ?」
渋々ながらも、彼女は酒とつまみの料金を差し出す。
「いえ、構いませんよ。これで発泡スチロールに生えたきのこを食べずにすみますからね」
………あれ、彼女がイタイ人を見るような目つきでこちらを見ているのは、気のせいだろうか?
「は、発泡スチロールって……」
「ええ、以前不燃ゴミに生えたのをソテーにしてみたら一日中下痢になりましてね。いや~、あれは酷かったですよ~」
あれ、彼女の目つきがさらに険しくなったように感じる……
「そ、そう……」
引きつった笑みを浮かべながら、彼女は言葉を紡ぎだした。
「と、とりあえず、体には気をつけなさい」
こうして、彼女は店を後にした。
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